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週刊田力(平成19年12月2日)「限界集落、覆面試食会など」 

JUGEMテーマ:ニュース


[1]全国版「限界集落/国土崩壊を止められるか」

 2007.12.2 テレビ朝日「サンデープロジェクト」 

<以下番組内容を要約>

  昨今、大雨や地震を原因としない不可解な土砂災害が起きている。これは間伐や下草刈りなと「森林管理」が放棄された針葉樹林森林の保水力低下が原因とも言われ、昭和20年代後半より行われた杉などの植林政策が背景にある。

 昭和50年代以降、輸入木材の拡大により国内産木材の需要は低下し、採算性悪化した杉林では管理放棄が増加した。その結果、林業振興に活路を目指した山村集落の多くが「限界集落」の危機に陥っている。

 国交省の調べでは、現在、全国で7878の限界集落があり、うち10年以内に消滅する可能性にある集落が423、これが全国に広がっていくだろうと予測している。

 1950~80年代まで行われた植林政策において、国は具体的な達成目標を示し、補助金を投入しながら、広葉樹林や山間地の水田などを針葉樹林に転換してきた。

 この政策に乗らず、独自の森林振興に取り組んだ集落が高知県四万十町(旧十和村)にある。旧十和村では茶、栗、椎茸栽培による地域振興を画策し、広葉樹の保全を図ってきた。現在、地域物産直売所として設立した「四万十ドラマ」は黒字経営を堅持し、村へのUターン者も多く、限界集落とは縁遠い活気がある。

 一方、国策に沿って針葉樹林の拡大を図った集落では、高齢化と離村者の増加により路線バスが廃止され、生活用水となる沢水の配水施設が荒廃するなど、地域振興より先に、生活基盤そのものが崩壊しつつある場合も多い。

 「中国、インドの木材需要が増加する近年において、森林は日本の重要な財産となり、過去の植林政策は成功だったと認識している。」そう林野庁担当者は指摘するが、今後、限界集落は山間部から平野部まで拡大し、日本の食糧自給率低下にさらなる拍車をかけるだろうと指摘する専門家もいる。



  ×  ×  ×  ×  ×  ×  ×



 国内農業よりも深刻な状況にあるのが国内林業で、今後の米政策を占うためには、この林業政策の変遷が大きな参考になるかもしれません。

 マスコミ報道は、そのまま鵜呑みにすると後で痛い目に合うこともあるので、後日「裏取り作業」をしなければなりませんが、高知県旧十和村のような事例は、見ていて楽しいもんだなと感じました。

 なんにしても、一大国民病となった「花粉症」、これの対策に本腰に入れるのであれば、自民党だろうが民主党であろうが、絶大なる国民の支持が得られそうな気もします。



[2]田力地域版「覆面試食会」



 先日、色麻町のライスフィールドで、田力仲間の新米試食会を行いました。

 エントリーされた米のほとんどが農薬を使わず栽培した米で、品種は大部分が「ササニシキ」、これにササニシキのオヤジに当たる「ササシグレ」とササニシキのご先祖様にあたる「亀の尾」、さらに秋田から出張してきた「秋田こまち」も加わり、品種と栽培方法が異なる農家が生産した合計9種類の米により「利き酒」ならぬ「利き飯」を行ったわけです。



 試食会は、各々の米を9つの炊飯ジャーで一斉に炊き出し(配電ブレーカーに注意を要する)、これを生産農家と品種を明らかにせず、覆面方式で各々皿に盛り、「利き飯」をして正解率を争いました。

 「利き飯」の参加者は9名。飯をちょっとずつ箸でつまみながら、生産農家と品種の当てっこをしたのですが、結果として「利き飯」は難しいことが実感できました。

 生産農家と品種の両方を予想するため、採点過程は複雑ですが、100点満点で参加者9名の平均点が30点、最も正解率が良かった人でも50点でした。



 栽培方法から「米の味」を推測するのは大変難しいわけですが、「ササニシキ」や「秋田こまち」といった品種の違いさえも、食味それだけでは判別が難しいようです。

 これを考えれば「米の美味しさ」には、食味計に現れる「微妙な数値の違い」よりも、栽培方法や産地、そういったイメージがより大きく影響しているのかもしれません。



 さらに言えば、「米を食べる」消費者の方々は、たぶん食味などの数値基準や品種より、米が育った田んぼの風景を感じながら、お米の味を感じてくれてるのだろうと思ったりします。スタンダードではない、もう一つの別の思い。これが「食べて物」には大切なのでしょう。



[3]論説「一律な目標」

 稲作には国が定める目標として「減反政策(生産調整)」があり、これが環境分野では二酸化炭素排出抑制などがあります。いずれも将来の「食料」や「環境」のあり方を政府が決定し、そこに目標を定めているわけですが、この一律な目標がしばしばくせ曲になります。



 こうった目標は「食料自給率の向上(注)」とか「地球温暖化抑制」といった目的を達するための手段として設定されるわけですが、目的を達成するための手段は一律に定められる目標以外にも、いろいろあるわけで、それは地域によっても時代の変化によっても異なってくるでしょう。そして、そもそもその手段がベストであるかどうかといった問題もあろうかと思います。



 冒頭の「限界集落」では、植林政策という一律な国策目標が、結果として多くの集落を「限界」の危機に陥れ、一方で、自主路線で地域振興を図った旧十和村では活気に溢れていると伝えています。一律な目標を掲げず、手段としてもっと多様で自主的な目標があったのなら、もしかしたら現在の「限界集落」の少なからずは「限界」にならなかったのかもしれません。



 ところで話は変わりますが、「失楽園」で有名な渡辺淳一氏は週刊新潮で今話題のミシュランの格付けについて言及しています。



「旨いものとは何か?その答えは簡単明瞭。それを食べた人が旨いと思ったら、それが旨いものなのである。(週刊新潮(12月6日号)連載コラム「あとの祭り」)」



 つまり渡辺氏はミシュランの格付けなど余計なお世話だと言っているわけで、これには全く同感させられます。自分の主観で定まる「旨さ」を誰かに評価される必要など無いということなのでしょう。

 それを考えれば、先の「新米試食会」の正解率の低さも、それぞれの主観が異なった自然な結果だったと言えなくもありません。



(注)減反政策には単に水稲の作付け面積を減らし、米余りの調整をするだけでなく、それにより生じた余剰水田に麦やダイズ、牧草など水稲以外の畑作物の作付けを行うことで、食料自給率を高めるといった目的もある。



[記:田鴨正路]

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