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旧石器捏造事件(宮城県北での出来事) 


 もう過去の事件となり、忘れ去られつつあるが、十年以上前に、宮城県を舞台とした旧石器発掘捏造事件がある。この事件は、宮城県でも県北地方が主な舞台で、私の生活圏内とほぼ重なる。
 今一度事件の概要を述べるが、宮城県北地方をフィールドとして活動した在野のアマチュア旧石器研究家に藤村新一氏がいた。彼の実績は、考古学の常識を覆して、金字塔を打ち立てるが、しかし、その実績の多くは捏造であることが暴かれる。これにより、日本の考古学会の権威は、著しく失墜したのである。

 今月の『新潮45号2月号』(石の嘘塔-藤村新一の「大発見」-上原善広 著)では、この事件の経緯と背景を綴っている。

 この事件を振りかえって痛感せずにいられないのは、考古学研究者なるものの、意外なほどのプロ意識の欠如だ。それは、名誉欲にとりつかれたアマチュアの捏造行為を、ついに見抜けなかったことで裏づけられる。

 もちろん、物事を捏造する人間は良くないが、そのような人間は世の中にいくらでもいる。そしてその捏造は、必ずしも悪意により為されるばかりでなく、人間関係の延長から生じる『善意』で為される場合もあるからやっかいだ。しかし、それを見抜くのがプロではないのか?

 以前紹介した偽書「東日流外三郡誌」事件では、さすが奇天烈すぎて、一部大学の研究者を除き、このような奇書に飛びつく学術研究者はいなかった。しかし、この旧石器捏造事件では、既存の考古学の権威そのものが、捏造石器にお墨付きを与えてしまっていたのである。

 私は以前、自然保護関係の活動をしていたこともあり、その分野に関係する学術研究者と意見交換したり、調査データを提供したことが少なからずあった。このような自然保護分野の研究フィールドは、研究室内だけで全うできず、市井の人々と意見を交わしながら研究が進められる場合が多いようだが、その際に、学者のプロ意識の有無について考えさせられる場面にしばしば出会った。

 一般にこのような学者は、自分の研究分野における何らかの仮説を検証するため、野に入る。そして、自らの仮説を補強できる事象に出会えれば成果ありだが、森羅万象は、そんな単純ではない。自分の仮説と反対の事象と出くわすことも多く、むしろ、そっちのほうが多かったりもするものだ。

 そのような時に、その学者のプロ根性が試されるわけで、あっさりと自説を撤回する学者は潔いが、それだけでは根性に欠ける。なぜ自分の仮説と異なる事象が生じているのか、相手は市井の人々だったりするので、頭を下げつつ、しかし人様への疑いを持って、何事かを調べ廻らねばならない時もある。
 場合によっては賛同者や既存の権威と相反する行動もとらねばならぬ場面もあるが、そういった際には「共感力」とか「人間力」とか、そのような人間本来が持っている優しい心が邪魔をする。あるいは、野に入ってから今まで自分が蓄積してきた様々な意味での「財産」を失いたくないとする、弱い心だって芽生えてくる。

 しかし、これらを乗り越えて、おぼろげだった事象が始めて明らかになっていくわけで、これができるかどうかが学術研究者のプロ根性となろう。私が出会った中で、でここまで出来る研究者は限られていたように思う。自分達の派閥や仲間内の空気の中で安穏としている人も多いし、それ以前に、自分の仮説と反対の事象と出くわしても、その事象を認めなかったり、わかったようなわからない屁理屈でその場を煙に巻こうとする輩も少なくない。

 話しは、旧石器発掘捏造事件に戻る。

 この事件では、考古学の定説覆す発見が相次いでいた以上、当然、藤村氏の実績に疑いを持っていた研究者は少なからずいたはずだ。そうであれば、早いうちから、その「事象」を明らかにする努力をしておくことで、毎日新聞に先を越されず、学術団体自らが捏造事件を暴くことが可能だったはずだが、それが出来なかったのである。

 この問題の本質には石器の年代測定といった高度な技術的課題があったとは思えない。「共感力」や「人間力」、蓄積してきた財産喪失の恐れ、そういった人間の弱い心にのみ、問題の本質があったように感ずるのである。


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カテゴリ : 蝦夷の歴史
2013-01-26(Sat) | コメント : 0 | トラックバック : 0

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